蒼の王国〜金の姫の腕輪〜
‡〜初遭遇〜‡
内心、本当に焦っていた。
どれだけ調べても全く進展がない。
もう随分と時間も経ってしまった。
早く、早くと焦るばかりで、有力な情報は、チリほども見つける事ができない。
だから賭けに出ようと思った。
蒼葉の秘密を知っている葵ならば、一族に伝わる話の一つとして、”鍵”の情報を持っているかもしれない。
一刻、一瞬でも早く側に行きたい。
離れていることが不安だ。
何をしているかわからないのは不安だ。
何より、蒼葉が最も思い入れのある場所に居る事が不安だ。
帰って来なかったらどうしよう。
勿論、人間関係は稀薄だが、蒼葉は義理がたい所もある。
葵や祖父達に何も告げずに移住するとは考え難い。
だが、何だろう。
このどうしようもない焦燥感。
失うかもしれないと思う不安。
会いたい。
会って抱き締めたい。
もう二度と離さない。
絶対に離れない。
そこに行く為に、何をするべきかは分かっているのだ。
どんな結果になったとしても、何を犠牲にしても良い。
秘密を秘密にしていて良い時ではない。
危険な賭だ。
いくら口では信じると言ったとしても、葵がこの現実を受けとめられると言う保証はどこにもない。
一笑にふされるか。
白昼夢とでも思われるか。
それでも、小さな可能性に賭けてみたい。
「あれは何だい?」
「っあッ葵さんっ」
じっと見つめる先に仄かに光ものがある。
快が止めようと走って来たが、その腕を掴み、引き止める。
「なっ柚月ッ」
分かっている。
ばれてはいけない事だった。
存在を知られてはいけない者だった。
本来ならば、その淡い光は逃げるだろう。
だが、なぜか確信していた。
「イルっ…」
「?いったい何が…」
《みみゅぅ〔こんにちは〕》
「……」
「あ〜…」
《みゅみ?〔きこえてない?〕》
「……」
「…葵様…?」
駄目だったのだろうか。
茫然と立ちつくす葵は、しかし”イル”から目を離したりしない。
”イル”はバッチリと目を合わせたまま固まった葵を見上げ、可愛らしく首を傾げる。
《み?〔だめ?〕》
駄目だろうか。
これは、この場を穏便に済ませる為の、今後の行動を考えなくてはならないと決断したその時、実に葵らしい言葉が飛び出した。
「っカワイイっっっ。
どっからきたの???」
それはもう、デレデレの甘々に緩まった顔だった。
内心、本当に焦っていた。
どれだけ調べても全く進展がない。
もう随分と時間も経ってしまった。
早く、早くと焦るばかりで、有力な情報は、チリほども見つける事ができない。
だから賭けに出ようと思った。
蒼葉の秘密を知っている葵ならば、一族に伝わる話の一つとして、”鍵”の情報を持っているかもしれない。
一刻、一瞬でも早く側に行きたい。
離れていることが不安だ。
何をしているかわからないのは不安だ。
何より、蒼葉が最も思い入れのある場所に居る事が不安だ。
帰って来なかったらどうしよう。
勿論、人間関係は稀薄だが、蒼葉は義理がたい所もある。
葵や祖父達に何も告げずに移住するとは考え難い。
だが、何だろう。
このどうしようもない焦燥感。
失うかもしれないと思う不安。
会いたい。
会って抱き締めたい。
もう二度と離さない。
絶対に離れない。
そこに行く為に、何をするべきかは分かっているのだ。
どんな結果になったとしても、何を犠牲にしても良い。
秘密を秘密にしていて良い時ではない。
危険な賭だ。
いくら口では信じると言ったとしても、葵がこの現実を受けとめられると言う保証はどこにもない。
一笑にふされるか。
白昼夢とでも思われるか。
それでも、小さな可能性に賭けてみたい。
「あれは何だい?」
「っあッ葵さんっ」
じっと見つめる先に仄かに光ものがある。
快が止めようと走って来たが、その腕を掴み、引き止める。
「なっ柚月ッ」
分かっている。
ばれてはいけない事だった。
存在を知られてはいけない者だった。
本来ならば、その淡い光は逃げるだろう。
だが、なぜか確信していた。
「イルっ…」
「?いったい何が…」
《みみゅぅ〔こんにちは〕》
「……」
「あ〜…」
《みゅみ?〔きこえてない?〕》
「……」
「…葵様…?」
駄目だったのだろうか。
茫然と立ちつくす葵は、しかし”イル”から目を離したりしない。
”イル”はバッチリと目を合わせたまま固まった葵を見上げ、可愛らしく首を傾げる。
《み?〔だめ?〕》
駄目だろうか。
これは、この場を穏便に済ませる為の、今後の行動を考えなくてはならないと決断したその時、実に葵らしい言葉が飛び出した。
「っカワイイっっっ。
どっからきたの???」
それはもう、デレデレの甘々に緩まった顔だった。