蒼の王国〜金の姫の腕輪〜
‡〜薄情者?〜‡
「じゃあ、その”鍵”を探してるんだね?」
「はい。
その”鍵”がなければ、あちら側へ行く事ができません。
蒼葉様が帰って来られるのは、扉の開く次の満月。
ですが…」
「う〜ん。
不安だよね…?
あの子が帰って来なかったらと思うと…」
「何で?
蒼葉姉ちゃんなら、ちゃんと帰って来るんじゃない?」
「…いや…」
「そうだね…」
「?やりたい事やったら戻ってくんじゃないの?
確かに俺も何も言わずに出掛けちゃった事がすごく嫌な予感がしたけど、どこに行ったかわかったし、わざわざ迎えに行かなくても大丈夫じゃない?」
「あまいよ。
あの子はね、こうと決めたら貫き通すんだ。
それが、自分を犠牲にする事だったとしてもね。
決めたら一切振り向かないんだ。
後ろに誰がいるかなんて考えなくなる。
僕らがこうして、心配してるだろうななんて事、これっぽっちも考えなくなるんだ。
選択の末、あちらで暮らすなんて事になったら、あっさり僕らの存在を忘れてしまうよ」
「っまさか〜。
いくら何でもそんな事…?柚月…?」
「…あり得る…側にいなくては…きっと忘れて…」
「おっおい…柚月…だっ大丈夫か…?」
《みみゅみ〜ぃ〔ひめしゃまならありえる〜〕》
「イル?
だって、いくらなんでも葵さんとか、忘れてたりしないだろ?」
《みみみ〔ゆうせんじゅんいによる〕》
「ゆうせんじゅんい?
順番?
帰る事が後回しになるって事か?」
「イルはよく分かってるね〜。
そうだよ。
妻に言わせると、一族一の薄情者らしいからね」
「…あのユリさんに薄情者と言われる程?」
「そう。
我が妻、百合に薄情者と言われる程の薄情者だ。
かなり不味いよね?」
《み〜ぃ〔まず〜い〕》
「ね〜」
《み〜〔ね〜〕》
「っ呑気にしてる場合じゃないよ。
どうすんの?!
忘れられんのも時間の問題じゃん」
「だから、探してるだろ」
「うっこえぇよ…柚月…」
「うん。
そうだね〜。
こうしちゃいられないね〜。
もう少しイルとお話ししたいけど…。
一度戻って、お義父さんに聞いてみるよ」
《みみみ〜みゅ〔いってらっしゃ〜い〕》
「はい。
いってきま〜す。
またね〜」
《みゅ〜〔また〜〕》
「じゃぁ、柚月くんは、とりあえず一度休んでおくんだよ」
「いえ。
まだ調べて…」
「休むんだよ」
「…はい…」
「じゃあ解散」
《みみみ〜〔かいさん〜〕》
「じゃあ、その”鍵”を探してるんだね?」
「はい。
その”鍵”がなければ、あちら側へ行く事ができません。
蒼葉様が帰って来られるのは、扉の開く次の満月。
ですが…」
「う〜ん。
不安だよね…?
あの子が帰って来なかったらと思うと…」
「何で?
蒼葉姉ちゃんなら、ちゃんと帰って来るんじゃない?」
「…いや…」
「そうだね…」
「?やりたい事やったら戻ってくんじゃないの?
確かに俺も何も言わずに出掛けちゃった事がすごく嫌な予感がしたけど、どこに行ったかわかったし、わざわざ迎えに行かなくても大丈夫じゃない?」
「あまいよ。
あの子はね、こうと決めたら貫き通すんだ。
それが、自分を犠牲にする事だったとしてもね。
決めたら一切振り向かないんだ。
後ろに誰がいるかなんて考えなくなる。
僕らがこうして、心配してるだろうななんて事、これっぽっちも考えなくなるんだ。
選択の末、あちらで暮らすなんて事になったら、あっさり僕らの存在を忘れてしまうよ」
「っまさか〜。
いくら何でもそんな事…?柚月…?」
「…あり得る…側にいなくては…きっと忘れて…」
「おっおい…柚月…だっ大丈夫か…?」
《みみゅみ〜ぃ〔ひめしゃまならありえる〜〕》
「イル?
だって、いくらなんでも葵さんとか、忘れてたりしないだろ?」
《みみみ〔ゆうせんじゅんいによる〕》
「ゆうせんじゅんい?
順番?
帰る事が後回しになるって事か?」
「イルはよく分かってるね〜。
そうだよ。
妻に言わせると、一族一の薄情者らしいからね」
「…あのユリさんに薄情者と言われる程?」
「そう。
我が妻、百合に薄情者と言われる程の薄情者だ。
かなり不味いよね?」
《み〜ぃ〔まず〜い〕》
「ね〜」
《み〜〔ね〜〕》
「っ呑気にしてる場合じゃないよ。
どうすんの?!
忘れられんのも時間の問題じゃん」
「だから、探してるだろ」
「うっこえぇよ…柚月…」
「うん。
そうだね〜。
こうしちゃいられないね〜。
もう少しイルとお話ししたいけど…。
一度戻って、お義父さんに聞いてみるよ」
《みみみ〜みゅ〔いってらっしゃ〜い〕》
「はい。
いってきま〜す。
またね〜」
《みゅ〜〔また〜〕》
「じゃぁ、柚月くんは、とりあえず一度休んでおくんだよ」
「いえ。
まだ調べて…」
「休むんだよ」
「…はい…」
「じゃあ解散」
《みみみ〜〔かいさん〜〕》