蒼の王国〜金の姫の腕輪〜
‡〜月陰会〜‡
「すまんな。
邪魔するぞ」
「っ…れっ…レン様っ…」
「悪いな祥。
勝手に上がらせてもらった」
「いえ…ですがその…」
「失礼、私は”月陰会”のレンだ。
そちらは、早宮家の柚月春臣殿でよろしいか?」
「…はい」
「来られるなら、そろそろと思っていた」
「…どう言う意味です…?」
「これを本当の意味で必要とするならば、こちらに当たりをつけてやって来るだろうと思っていたのだ。
そもそも、今回の早宮への一件は、約二百年程前に確約されたもの。
少々焦れていたのも確か。
強盗のような真似をして申し訳なかった。
”月陰会”当代としてまずお詫びしよう」
「当代…あなたが…?」
当代と名乗るレンは、蒼葉とそう変わらない年齢に見える。
その上女性だった。
「こちらの事はどこまでご存知だろうか」
「あまり確かな事は…裏社会を取り締まっている元締めだとしか…」
「そうか。
まぁ、それが一端ではある。
闇に生きるしかない者達の寄る辺であり、秩序を守る事を目的とした組織だ」
「…その”月陰会”が、なぜこれを奪ったのです?」
「二百年程前。
ある男に依頼を受けた。
異界からの来訪者で、これが誰か個人の手に渡される時、これを回収し封じて欲しいと…。
早宮に受け継がれるこれが、いつ誰に渡るかはその時が来なければわからない。
この依頼を実行するのは、この戸羽家と決まっていた。
この祥で、当時の代から数えて八代目。
その依頼の意味さえ霞んでしまった。
全ての件を預かる者としては、失態だ。
本当に申し訳ない」
「っレン様ッッ…悪いのはわたくしで…っ」
「いや。
お前にも悪かったな。
まだ先の事だと油断していた」
「とんでもごさいませんっ。
至らず申し訳ございませんッッ」
「こちらの話ですまんな。
お急ぎの様だが、知って貰わねばならん事がある。
聞いていただけるか?」
「…はい」
「これはそちらにも関係深い事だ。
一応二、三確認させてもらおう。
これが何か知っているか?」
「…異界への扉の”鍵”です」
「ふふっそう警戒する事はないよ。
ではもう一つ。
これが今必要となったと言う事は、蒼葉嬢は、彼の国の姫の生まれ変わりかな?」
「ッッなっ!?」
「ふふっそう驚く事はない。
大抵の事は承知している。
我々に隠し事は無駄だ。
それが理解できたなら、全てお話しよう」
どこまでも見通しそうな鋭い瞳。
どこか蒼葉に似た雰囲気を持つこの女性を信じよう。
改めて頷いた。
「すまんな。
邪魔するぞ」
「っ…れっ…レン様っ…」
「悪いな祥。
勝手に上がらせてもらった」
「いえ…ですがその…」
「失礼、私は”月陰会”のレンだ。
そちらは、早宮家の柚月春臣殿でよろしいか?」
「…はい」
「来られるなら、そろそろと思っていた」
「…どう言う意味です…?」
「これを本当の意味で必要とするならば、こちらに当たりをつけてやって来るだろうと思っていたのだ。
そもそも、今回の早宮への一件は、約二百年程前に確約されたもの。
少々焦れていたのも確か。
強盗のような真似をして申し訳なかった。
”月陰会”当代としてまずお詫びしよう」
「当代…あなたが…?」
当代と名乗るレンは、蒼葉とそう変わらない年齢に見える。
その上女性だった。
「こちらの事はどこまでご存知だろうか」
「あまり確かな事は…裏社会を取り締まっている元締めだとしか…」
「そうか。
まぁ、それが一端ではある。
闇に生きるしかない者達の寄る辺であり、秩序を守る事を目的とした組織だ」
「…その”月陰会”が、なぜこれを奪ったのです?」
「二百年程前。
ある男に依頼を受けた。
異界からの来訪者で、これが誰か個人の手に渡される時、これを回収し封じて欲しいと…。
早宮に受け継がれるこれが、いつ誰に渡るかはその時が来なければわからない。
この依頼を実行するのは、この戸羽家と決まっていた。
この祥で、当時の代から数えて八代目。
その依頼の意味さえ霞んでしまった。
全ての件を預かる者としては、失態だ。
本当に申し訳ない」
「っレン様ッッ…悪いのはわたくしで…っ」
「いや。
お前にも悪かったな。
まだ先の事だと油断していた」
「とんでもごさいませんっ。
至らず申し訳ございませんッッ」
「こちらの話ですまんな。
お急ぎの様だが、知って貰わねばならん事がある。
聞いていただけるか?」
「…はい」
「これはそちらにも関係深い事だ。
一応二、三確認させてもらおう。
これが何か知っているか?」
「…異界への扉の”鍵”です」
「ふふっそう警戒する事はないよ。
ではもう一つ。
これが今必要となったと言う事は、蒼葉嬢は、彼の国の姫の生まれ変わりかな?」
「ッッなっ!?」
「ふふっそう驚く事はない。
大抵の事は承知している。
我々に隠し事は無駄だ。
それが理解できたなら、全てお話しよう」
どこまでも見通しそうな鋭い瞳。
どこか蒼葉に似た雰囲気を持つこの女性を信じよう。
改めて頷いた。