蒼の王国〜金の姫の腕輪〜
‡〜いつも側に〜‡
空を見上げる蒼葉は、とても遠い存在に思えた。
どこかへ行ってしまいそうな。
消えてしまいそうな。
そんな今にも手の届かない場所へ行ってしまうように思える。
だから手を伸ばした。
隣に立っている俺に今気づいたと言うように、ふっとこちらを向いた蒼葉は、虚ろな目をしていた。
「…風邪を引きますよ。
入りましょう」
「うん…」
そっと手を背中に添え、屋敷の中へ誘う。
すぐにメイドが駆け付け、蒼葉を部屋へと連れて行った。
自分も自室に戻りシャワーを浴びて普段着に着替える。
軽く食事も済ませると、足は自然に蒼葉の部屋へと向かっていた。
ドアをノックしようとして、ふっともう眠っているのではないかと一瞬手を止めた。
「春臣?
いいよ、入って…」
「っはいっ」
途端に部屋から声がして、驚いた。
ゆっくりとドアを開ければ、夜着に着替えてベランダに立つ蒼葉の姿があった。
「風邪を引きます」
「ふっ、さっきも言われた…」
そう言って変わらず空を見上げる蒼葉に少し苛立ち、ずかずかと部屋に入り近づくと、少々乱暴に腕を引いて部屋に入れ、すばやく窓を閉めた。
「早く寝なさいっ」
目をパチクリさせ、固まった蒼葉を見て自分に驚いた。
「っ悪い…」
「いや…少し驚いただけだから…」
そう言って微笑む姿に顔がほてるのを感じて目を背ける。
「…眠れないんだけど、横にはなるよ。
春臣も、もう寝ていいから」
「ええ…」
何だろうこの気持ちは。
釈然としない。
何かが嫌だと告げる。
「…眠るまで…そばにいます…」
ふっと出てきた言葉。
はっと口を押さえるが、しっかり聞かれていたようだ。
見れば、こちらを驚いた顔をして見ている蒼葉と目が合った。
空を見上げる蒼葉は、とても遠い存在に思えた。
どこかへ行ってしまいそうな。
消えてしまいそうな。
そんな今にも手の届かない場所へ行ってしまうように思える。
だから手を伸ばした。
隣に立っている俺に今気づいたと言うように、ふっとこちらを向いた蒼葉は、虚ろな目をしていた。
「…風邪を引きますよ。
入りましょう」
「うん…」
そっと手を背中に添え、屋敷の中へ誘う。
すぐにメイドが駆け付け、蒼葉を部屋へと連れて行った。
自分も自室に戻りシャワーを浴びて普段着に着替える。
軽く食事も済ませると、足は自然に蒼葉の部屋へと向かっていた。
ドアをノックしようとして、ふっともう眠っているのではないかと一瞬手を止めた。
「春臣?
いいよ、入って…」
「っはいっ」
途端に部屋から声がして、驚いた。
ゆっくりとドアを開ければ、夜着に着替えてベランダに立つ蒼葉の姿があった。
「風邪を引きます」
「ふっ、さっきも言われた…」
そう言って変わらず空を見上げる蒼葉に少し苛立ち、ずかずかと部屋に入り近づくと、少々乱暴に腕を引いて部屋に入れ、すばやく窓を閉めた。
「早く寝なさいっ」
目をパチクリさせ、固まった蒼葉を見て自分に驚いた。
「っ悪い…」
「いや…少し驚いただけだから…」
そう言って微笑む姿に顔がほてるのを感じて目を背ける。
「…眠れないんだけど、横にはなるよ。
春臣も、もう寝ていいから」
「ええ…」
何だろうこの気持ちは。
釈然としない。
何かが嫌だと告げる。
「…眠るまで…そばにいます…」
ふっと出てきた言葉。
はっと口を押さえるが、しっかり聞かれていたようだ。
見れば、こちらを驚いた顔をして見ている蒼葉と目が合った。