蒼の王国〜金の姫の腕輪〜
‡〜願う者〜‡
「上手くいくと良いな」
「レン様…何を企んでおいでです…?」
「人聞きの悪い。
私は、必要とされる事を必要なだけ手を貸しているだけだ。
企むと言うのなら、私ではなく世界だ」
「…相変わらず…わたくしには理解できません…」
「そうか?」
正直、あの”鍵”をどうするべきなのか決めかねていた。
依頼主の願いの強さが、生半なものではなかったからだ。
「今のあの二人には優しいと良いんだが…」
「?…」
世界は時に人に残酷で、時にあっさりと救いをもたらす。
気まぐれで、理解できない事も多い。
そんな世界だからこそ面白くて退屈しない。
平等なんて言葉は存在しないから、失望する事もあるけれど、何もないわけではない。
得られるものがあると思うから人は前に進む。
迷って、悩んで見つけていく答えは、ある者にとっては正解ではないかもしれないが、あながち間違っていないものだ。
「全ての者が、同じだけの思いやる心を初めから持っていたなら、もう少し生きやすいだろうに…」
「…貴女にとっては、面白みに欠ける世界かもしれませんよ」
「確かにそうかもな。
だが、少なくとも今のせせこましさは消える。
それなら、裏の奴らにも、今よりも日の光を当ててやれるだろな」
「わたくしは、向ける想いと向けられる想いが、目に見えたらと思う時はあります」
「ほおぅ。
存外、可愛らしい事を言うな」
「…っ分かりにくい方が傍におりますからね」
「ふっ。
そうかっ。
分かりにくいかっ」
傍にいるからこそ遠く感じる事もある。
手の届く場所にいるのに、掴めない。
悩んで、もがいて、離れていく。
「嫌になるか?」
「お傍にいる事をですか?
いいえ。
むしろお傍にいないと不安です」
「?なぜだ?」
「わたくしにもわかりませんが、何処で何をしていらっしゃるのかを把握していないと落ち着きません」
「お前…そのうち禿げるぞ」
「ッッ百パーセント貴女のせいですっ。
と言うか、まだ三十になったばかりですよっ。
禿げさせないでくださいッッ」
「うむ。
禿げてきたら、いっそ全て剃るんだぞ」
「…っだから…禿げさせないように…もう良いです…」
言葉には決してしない。
お前が傍にいると安心する事…。
どうしたって人は、知らないうちに、誰かに支えられて生きている。
だからこそ知って欲しいと思う。
傍にいる者の想いに、あの姫は気づいただろうか。
心の底なんて浅いものではない。
魂の奥から、求められている想い。
その想いを知ったなら、もうきっと自分から離れようなんて思えなくなる。
傍に…隣りにいてくれる者が愛しくて仕方がなくなる。
どんな最低な世界であったとしても、この世界を愛したくなる…。
「なあ、ユウリ…あの二人…何もかも上手く行けばいいな…」
「はい…」
「上手くいくと良いな」
「レン様…何を企んでおいでです…?」
「人聞きの悪い。
私は、必要とされる事を必要なだけ手を貸しているだけだ。
企むと言うのなら、私ではなく世界だ」
「…相変わらず…わたくしには理解できません…」
「そうか?」
正直、あの”鍵”をどうするべきなのか決めかねていた。
依頼主の願いの強さが、生半なものではなかったからだ。
「今のあの二人には優しいと良いんだが…」
「?…」
世界は時に人に残酷で、時にあっさりと救いをもたらす。
気まぐれで、理解できない事も多い。
そんな世界だからこそ面白くて退屈しない。
平等なんて言葉は存在しないから、失望する事もあるけれど、何もないわけではない。
得られるものがあると思うから人は前に進む。
迷って、悩んで見つけていく答えは、ある者にとっては正解ではないかもしれないが、あながち間違っていないものだ。
「全ての者が、同じだけの思いやる心を初めから持っていたなら、もう少し生きやすいだろうに…」
「…貴女にとっては、面白みに欠ける世界かもしれませんよ」
「確かにそうかもな。
だが、少なくとも今のせせこましさは消える。
それなら、裏の奴らにも、今よりも日の光を当ててやれるだろな」
「わたくしは、向ける想いと向けられる想いが、目に見えたらと思う時はあります」
「ほおぅ。
存外、可愛らしい事を言うな」
「…っ分かりにくい方が傍におりますからね」
「ふっ。
そうかっ。
分かりにくいかっ」
傍にいるからこそ遠く感じる事もある。
手の届く場所にいるのに、掴めない。
悩んで、もがいて、離れていく。
「嫌になるか?」
「お傍にいる事をですか?
いいえ。
むしろお傍にいないと不安です」
「?なぜだ?」
「わたくしにもわかりませんが、何処で何をしていらっしゃるのかを把握していないと落ち着きません」
「お前…そのうち禿げるぞ」
「ッッ百パーセント貴女のせいですっ。
と言うか、まだ三十になったばかりですよっ。
禿げさせないでくださいッッ」
「うむ。
禿げてきたら、いっそ全て剃るんだぞ」
「…っだから…禿げさせないように…もう良いです…」
言葉には決してしない。
お前が傍にいると安心する事…。
どうしたって人は、知らないうちに、誰かに支えられて生きている。
だからこそ知って欲しいと思う。
傍にいる者の想いに、あの姫は気づいただろうか。
心の底なんて浅いものではない。
魂の奥から、求められている想い。
その想いを知ったなら、もうきっと自分から離れようなんて思えなくなる。
傍に…隣りにいてくれる者が愛しくて仕方がなくなる。
どんな最低な世界であったとしても、この世界を愛したくなる…。
「なあ、ユウリ…あの二人…何もかも上手く行けばいいな…」
「はい…」