蒼の王国〜金の姫の腕輪〜
‡〜過去から未来へ〜‡
「ごめんなさい、討たれてやることはできません。
その代わり、それ以外で私ができる事なら、何だってしましょう」
これが、散々説教をされた私に出せる精一杯の答えだった。
後ろには、まだ何かを燻らせているラダとナーリスがいる。
小山のような本来の姿で前にある”化け犬”に、不本意な解答をしなくてはならない事に少し眉を寄せて話し聞かせる。
《『少し思い違いをしているようだが、我は、親や兄弟達の敵をとりたいとは思っておらん』》
「?…なぜです?
家族を亡くしたからこそ、この森に独りでいるのでしょう。
あなたは、住んでいた場所を追われた。
それだけでも恨んでも仕方ない事なのに、家族も殺されて…」
《『…お主の家族は幸せな様だな。
我はあれらを愛してはいなかった。
あのままならば、いずれ我は親兄弟に殺されていただろう。
そうならなかっただけでも、感謝したいくらいだ。
その上、お主はあの日我を見逃してくれた。
今まで生きてこられたのは、お主のおかげだと言っても過言ではない』》
「恨んでいないと…?」
《『そうだ。
むしろ、転機を与えてくれたことを感謝している』》
「それじゃぁ、リュスナとこのまま行っても良いわよね◎」
《『いいや、駄目だ』》
「なぜだ?
お前はリュスナをどうこうしようと思ってないんだろ、なら問題はないはずだ」
《『言っただろ、感謝していると…』》
ボワッ
《『これくらいの大きさなら支障がないはずだ。
我を連れて行け』》
「なに?」
「えっ?」
「あらぁん?」
おかしな事になってきた。
「なぜそうなるんです?」
《『外の様子がおかしいのだ。
知っていると思うが、この森に入ってくる物好きなものはほとんどいない。
大抵は、居場所をなくしたならず者だ。
だが…最近は死ににくるのだ…』》
「死ににくる…?」
《『そうだ。
ここに追いやられたのでも、静な場所を求めてきたのでもない…死ににくるのだ…』》
「やっぱり…。」
「ナーリス?
どうゆう事です?」
「弟君よ…。
彼は、人族は勿論…誰であっても、一切救いの手を差し伸べたりしないわ。
だから、卑賤に問わず、国に、世界に絶望して多くの者が死んでいくの…。
当然、どれだけの者が死んだとしても、彼は何の政策も立てないし、やり方を変えないわ」
「…誰かは声を上げるでしょう…?」
「いいえ、誰一人として立ち上がったりしないわ…。
一筋の希望さえも、彼は残してはいないのだから…」
「…そんな事…」
《『…この森が穏やかである為にも、我は外を見てみたい。
折よくお主が来た。
悪い話ではないはずだ。
当然、力にもなろう…気高き姫よ』》
「ごめんなさい、討たれてやることはできません。
その代わり、それ以外で私ができる事なら、何だってしましょう」
これが、散々説教をされた私に出せる精一杯の答えだった。
後ろには、まだ何かを燻らせているラダとナーリスがいる。
小山のような本来の姿で前にある”化け犬”に、不本意な解答をしなくてはならない事に少し眉を寄せて話し聞かせる。
《『少し思い違いをしているようだが、我は、親や兄弟達の敵をとりたいとは思っておらん』》
「?…なぜです?
家族を亡くしたからこそ、この森に独りでいるのでしょう。
あなたは、住んでいた場所を追われた。
それだけでも恨んでも仕方ない事なのに、家族も殺されて…」
《『…お主の家族は幸せな様だな。
我はあれらを愛してはいなかった。
あのままならば、いずれ我は親兄弟に殺されていただろう。
そうならなかっただけでも、感謝したいくらいだ。
その上、お主はあの日我を見逃してくれた。
今まで生きてこられたのは、お主のおかげだと言っても過言ではない』》
「恨んでいないと…?」
《『そうだ。
むしろ、転機を与えてくれたことを感謝している』》
「それじゃぁ、リュスナとこのまま行っても良いわよね◎」
《『いいや、駄目だ』》
「なぜだ?
お前はリュスナをどうこうしようと思ってないんだろ、なら問題はないはずだ」
《『言っただろ、感謝していると…』》
ボワッ
《『これくらいの大きさなら支障がないはずだ。
我を連れて行け』》
「なに?」
「えっ?」
「あらぁん?」
おかしな事になってきた。
「なぜそうなるんです?」
《『外の様子がおかしいのだ。
知っていると思うが、この森に入ってくる物好きなものはほとんどいない。
大抵は、居場所をなくしたならず者だ。
だが…最近は死ににくるのだ…』》
「死ににくる…?」
《『そうだ。
ここに追いやられたのでも、静な場所を求めてきたのでもない…死ににくるのだ…』》
「やっぱり…。」
「ナーリス?
どうゆう事です?」
「弟君よ…。
彼は、人族は勿論…誰であっても、一切救いの手を差し伸べたりしないわ。
だから、卑賤に問わず、国に、世界に絶望して多くの者が死んでいくの…。
当然、どれだけの者が死んだとしても、彼は何の政策も立てないし、やり方を変えないわ」
「…誰かは声を上げるでしょう…?」
「いいえ、誰一人として立ち上がったりしないわ…。
一筋の希望さえも、彼は残してはいないのだから…」
「…そんな事…」
《『…この森が穏やかである為にも、我は外を見てみたい。
折よくお主が来た。
悪い話ではないはずだ。
当然、力にもなろう…気高き姫よ』》