蒼の王国〜金の姫の腕輪〜
‡〜護りたい人〜‡
自分で言ってしまってなんだが、傍にいるなんて言ってはいけなかったかもしれない。
確かに昔は、言われるまま子どもだった蒼葉を胸に抱いて眠った。
猫や犬を拾うように拾われ、何不自由ない生活。
仕事を覚えろと子どもに言われた所で、本気になれるはずがなく、子守の仕事だと勝手に思っていた。
屋敷で働く者達と話す気にもなれず、蒼葉と二人きりで過ごす日々。
勿論、小学生な彼女は、学校にもちゃんといく。
その間は、本などを読んだりとぼんやり過ごす。
与えられた部屋は、実際に見た事はないが、ホテルのスイート並。
ちゃんとしたキッチンもついているので、蒼葉に頼んで食材を持って来てもらえば、全く部屋の外に出る必要もない。
そして、半月ほどした頃、何となく教えられていた事が、頭に入るようになった。
子どもの遊びではないことに気がついた。
『これでわかった?
この取り引きはここでようやく意味をもつんだよ』
だんだんと彼女が子どもに見えなくなってくる。
こうして教える彼女は、もっと年上の女性。
まさに先生や上司のようだ。
その後半月、真面目に仕事を覚え、ついに実際に会社に入る事になった。
その役職は、社長の秘書。
穏やかな空気を纏った蒼葉の父”葵”は、確かに心配になるほどの人好きのする天然の入った人だった。
やり手ではあるが、ナメられがちで、こちらがしっかりしなければと思わせる雰囲気を醸し出している。
仕事にも慣れた頃、社長に呼び出された。
『君に頼みたい事があるんだ。
勿論、頼むのだから、それなりにお礼もするよ』
生活が保証されている今、報酬など欲しいとは思わなかった。
社長の人柄も気に入っていて、純粋に力になりたいと思った。
『私にできる事でしたら、何でもお力になります』
『ありがとう。
頼みと言うのは、娘の…蒼葉の事なんだ』
『蒼葉様…』
『うん。
簡単だよ。
あの子を寝かせてくれれば良いんだ』
『?…寝かせる?』
『そう。
よろしくね』
あっさりと任された頼みは、疑問だらけだった。
その日の夜、蒼葉の部屋を訪ね、葵に頼まれたのだと話せば、少し考えた蒼葉に、『じゃぁ、一緒に寝てくれる?』と言われた。
子どもをあやすように、胸に抱き寄せて眠れば、次の日には葵や屋敷の使用人達に手を叩いて大喜びされた。
そして今夜、腕の中には安らかに眠る彼女が居た。
大事に、大切に、どこにも行かせないように抱き寄せ、自身も眠りについた。
自分で言ってしまってなんだが、傍にいるなんて言ってはいけなかったかもしれない。
確かに昔は、言われるまま子どもだった蒼葉を胸に抱いて眠った。
猫や犬を拾うように拾われ、何不自由ない生活。
仕事を覚えろと子どもに言われた所で、本気になれるはずがなく、子守の仕事だと勝手に思っていた。
屋敷で働く者達と話す気にもなれず、蒼葉と二人きりで過ごす日々。
勿論、小学生な彼女は、学校にもちゃんといく。
その間は、本などを読んだりとぼんやり過ごす。
与えられた部屋は、実際に見た事はないが、ホテルのスイート並。
ちゃんとしたキッチンもついているので、蒼葉に頼んで食材を持って来てもらえば、全く部屋の外に出る必要もない。
そして、半月ほどした頃、何となく教えられていた事が、頭に入るようになった。
子どもの遊びではないことに気がついた。
『これでわかった?
この取り引きはここでようやく意味をもつんだよ』
だんだんと彼女が子どもに見えなくなってくる。
こうして教える彼女は、もっと年上の女性。
まさに先生や上司のようだ。
その後半月、真面目に仕事を覚え、ついに実際に会社に入る事になった。
その役職は、社長の秘書。
穏やかな空気を纏った蒼葉の父”葵”は、確かに心配になるほどの人好きのする天然の入った人だった。
やり手ではあるが、ナメられがちで、こちらがしっかりしなければと思わせる雰囲気を醸し出している。
仕事にも慣れた頃、社長に呼び出された。
『君に頼みたい事があるんだ。
勿論、頼むのだから、それなりにお礼もするよ』
生活が保証されている今、報酬など欲しいとは思わなかった。
社長の人柄も気に入っていて、純粋に力になりたいと思った。
『私にできる事でしたら、何でもお力になります』
『ありがとう。
頼みと言うのは、娘の…蒼葉の事なんだ』
『蒼葉様…』
『うん。
簡単だよ。
あの子を寝かせてくれれば良いんだ』
『?…寝かせる?』
『そう。
よろしくね』
あっさりと任された頼みは、疑問だらけだった。
その日の夜、蒼葉の部屋を訪ね、葵に頼まれたのだと話せば、少し考えた蒼葉に、『じゃぁ、一緒に寝てくれる?』と言われた。
子どもをあやすように、胸に抱き寄せて眠れば、次の日には葵や屋敷の使用人達に手を叩いて大喜びされた。
そして今夜、腕の中には安らかに眠る彼女が居た。
大事に、大切に、どこにも行かせないように抱き寄せ、自身も眠りについた。