大好きな君と
ミンミンとセミがうるさい並木道を歩いて行く。
セミ・・・静かにして。。

暑くて、暑くて。

足取りも重くなっていく。
死んじゃいそう・・・

「よっ。斎藤さん。」

肩をポンッと叩くと私の横の並び私のペースに合わせながら
歩いて行く。

「さいとう・・・じゃなくていいよ?」

静かなムードを壊すために思い切って、話しかける。

「えっ?あぁ、いや・・・下の名前俺知らないし?」

「ゆうりだよ。」

「悠里ちゃん!?カワイイ名前~♡」

「そう?初めて言われた。。」

「嘘ぉ~!顔にあってる♪」

「もぉ~!!ほめ上手なんだから・・」

「お世辞じゃないからねっ」

名前の話題で予想以上の盛り上がりを見せた。

「そっちは?」

「俺?圭吾だよ。んー、皆には圭ちゃんって呼ばれる。」

「圭ちゃん。」

耳元で言ってあげると、耳がポワーっと赤くなっていた。
『圭ちゃん』

「っ」

圭ちゃんは並木道をあり得ないほどのスピードで走る。
え。待ってよ・・・

私も走って追いつこうとする。

あと1mってところで、圭ちゃんがピタっととまる。

えぇぇぇぇ。

私は自分のスピードをコントロールすることはできずにそのまま
圭ちゃんの背中に思い切り当たってしまった。

そのまま、私と圭ちゃんは道路に向かって倒れていく。

「キャーーーーーーー」
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