大好きな君と
気づくと家の目の前だった

「悠里~ご飯いる?」

「まだいらない」

ずっと、右手を見つめながら階段を上がって行く。
お母さんからの言葉も右から左へと通って行く。

部屋にはいって、ケータイを出す

新規メールを作成する。

【お説教の時はありがとう。】

いつも使うはずの絵文字は一切使わず春登へメールを打った。
後は、送信するだけなのに送信ボタンを押す勇気が出なかった。
少しの勇気が、ただただ、涙だけがあふれていた。
意味のない涙が瀧のように頬を伝って流れて行った。
声を殺して、涙だけをただただ流し続けた。

そして、勇気を振り絞り送信ボタンを押した。

ピロロン♪

早いよぉ・・・心の準備がダメだよぉ・・・もうっ

【へへッ。怖かったろ?これからも俺に頼って!?^^】

春登は何気なく打ったつもりのメールにまた涙が出る。

【うん。ありがと。】

送信ボタンを押す。こんな私に優しくしないで?


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