Do you love“me”?
「もう私、ずっとずーっと美月ちゃんに会える日を待ってたのに!! なのに、稜がいつまでもチンタラチンタラしてるからー」
「ねーちゃんのその言葉のせいで、もう一生会えなくなるトコだったんだけど」
「えっ!? ウソっ!! 何で!?」
呆れたような稜君の一言に、お姉さんがバッと私の方を向いたけれど。
「あー……あはは」
私は誤魔化し笑いを浮かべるしかない。
だって、これで“お姉さんを稜君の彼女と勘違いしてました”なんて言ったら、ますます収拾がつかなくなるのは必至だ。
「ちょっとした勘違いで……」
「“ちょっとした”!? 全然ちょっとしたじゃなかったじゃんっ!」
「りょ、稜君!! しーっ!! 言わないで!!」
「冷静になって考えたら、俺すごい悪い男っぽかったし!!」
「だ、だから、ごめんねっ! ホントに!! てゆーか、稜君だって……っ」
ちょっと思い出し怒りをしている稜君と、ワタワタと言い訳をする私の声は、お姉さんの事をとやかく言えないくらい大きくて、きっと個室じゃなければ迷惑になるレベルだった。
「――ぷっ!! あははははっ!!」
だけど、私達を見て、急に大笑いし始めたお姉さんの声は、更に大きくて。
驚く私に、彼女は目を細めてニッコリと笑いながら言ったんだ。
「あなた達、お似合いだねー」
――あぁ、なんだ。
さっきは冷静じゃなかったし、全然気付けなかったけれど、並んでみたら一目瞭然。
目だって鼻筋だって、唇だって……。
お姉さんのそれは、稜君そのもの。
「見てて飽きないわ」
ついその表情に見惚れる私を見てまた笑ったお姉さんは「でも、もう私は帰らなくっちゃ!」と、小さく息を吐き出して立ち上がる。
「え? もう帰られるんですか?」
「うん! だって、元はと言えば、稜の携帯の充電器を届けに来ただけだしね!」