Do you love“me”?


「ホント、ごめんねー……」

あれから、私の携帯番号を聞いたお姉さんは「じゃー、連絡するわねー!!」と、携帯をブンブン振りながら、嵐のように去って行った。

稜君は、溜め息交じりに私に謝って、そのままぐったり項垂れながらベッドに腰を下ろす。

その様子は、稜君に構われた後の航太君のようで、私的にはちょっと面白い。



「全然!! すっごい楽しかったー! 私、お姉さんみたいな人大好き!」

「そっか……。それならよかったー」

やっとちょっとだけ笑った稜君は、頭をポリポリ掻いて言ったんだ。


「上がみんなあんな感じだから、実家にいるともう最悪なんだよー」

でもその顔は、全然“最悪”だなんて思っていない顔。

少しだけはにかんで、“しょうがないなー”っていう感じ。


「みんな仲良しなんだね」

「……まぁ、そうだねー」

ちょっと顔を赤くして、頭を掻きながらそう言った稜君。


「稜君、可愛い」

その様子が可愛くて、下を向いてクスクスと笑いながら、思わずそんな言葉を口にしてしまった。


「……美月ちゃん?」

「え?」

下を向いたままの私の頭上から落とされた稜君の声は、いつもよりもほんの少し低くて。

それに驚いて、ゆっくりと顔を上げる。


「えっ!? 稜君!?」

急に伸ばされた手に驚いて、それから逃れようと後ずさった時にはもう遅位く、腕をグッと引っ張られた私は、そのままベッドに座る稜君の上に覆いかぶさるように倒れ込んだ。


「わ……っ!」

辛うじて、彼の顔の横に手をついて自分の体を支えた私が見降ろす先には、いつものキラキしたものじゃない、稜君の顔。


「男は“可愛い”って言われても、あんまり嬉しくないと思うよ?」

そう言って、ちょっと笑いながら私を見上げる。


「……っ」

稜君のこの目はダメだ。

心臓が、やっぱりおかしくなる。

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