Do you love“me”?
うーん、軽そうだなぁ……。
そんな事を思っていた私に、最上さんはパッと向き直り、
「妹ちゃんも!」
笑いながら、出来れば避けたかったその提案を口にした。
「えっと、私、ですか?」
思わず口を吐いて出てしまった一言に、うんうんと頷く。
「ちょっと最上さん、うちの義妹に手ぇ出すのやめて下さいよ」
航太君が、呆れたように笑いながら止めに入ってくれたんだけど、お酒も入っているせいか、なかなか引き下がる様子もない。
「まぁまぁ、んな野暮な事は言うなよ! ねっ、妹ちゃん!」
「はぁ……」
進んで教えたいとも思わないけれど、相手が相手だけに、微妙な返事しか出来なかった。
航太君にちらっと視線を送ると、先輩だから強く言えないのか、ちょっと困ったような表情をしていて。
そんな私と航太君の様子に、多分気付いたんだと思う。
「じゃー、俺も~!」
それまで黙っていた稜君が、笑いながら自分の携帯を取り出した。
「何でお前も聞くんだよ!」
「俺は最上さんの暴走を止める係ですから。……ってゆーか、最上さんばっかりずるい!!」
まるで子供のように駄々をこね、唇を尖らせる稜君のおかげで、一瞬悪くなった空気が一気に和んだ気がする。
「フルフル出来ますか? 出来るならLINEで送るんですけど……」
「あ、じゃーフルフルします」
首を傾げながら私を覗き込んだ稜君に、一瞬ドキッとしてしまう自分が嫌だ。
今日は、ドキドキする事が多すぎる。
「よしっ! じゃーフルフル〜。って、スマホ振らないでもいいの知ってました?」
お互いのスマホを近づけた数秒後、メッセージが表示され、同じように稜君の携帯にも私の連絡先が表示される。
「ありがとうございます」
「えっと、こちらこそ」
その日、私の携帯には、
“最上 恭平”
そして……
“川崎 稜”。
二つの名前が、新しく登録された。