Do you love“me”?
「まぁ、それは後でいいや! 一回家帰って、ナマケモノ置いたとこなんだけど……。もう少しゆっくりしてくる?」
目の前にいる結衣にチラッと視線を送ると、もう結衣はすっかり帰り支度を整えている。
「あー……大丈夫みたい」
「そっか! じゃー、お店の前まで迎えに行くー。場所教えて!」
それから私は、お店の場所を稜君に告げて、電話を切った。
「結衣、ありがとう! ごめんねー、付き合わせて」
「全然! 私も愚痴聞いてもらってスッキリしたし、美月のそんな顔、久し振り見れたから良しとする!」
「え?」
「稜君の前だと“フリーダム美月”っぽいね」
そう言って、結衣はニッコリ笑った。
「“フリーダム美月”って、リングネームみたいだね……」
「確かに!!」
お店を出た私達は、結衣のタクシーを待ちながら、そんな話をして笑っていた。
「でも確かに、稜君の前だとすごく楽で……あ、いい意味でね!」
「うんうん」
「今まで自分がどれだけ肩肘張ってたか、わかったよ」
「ねー? 結衣さんの言う通りだったでしょー?」
ちょっと誇らしげな顔をした結衣と、それを見て笑う私の耳に、バイクのエンジン音が聞こえて、目の前でそれがゆっくり停止した。
「稜君!」
メットをカポッと取ってニッコリ笑った稜君は、結衣を見つけると「結衣さん! こんばんはー!」と、礼儀正しく挨拶をする。