Do you love“me”?
「こ、こんばんはっ!!」
サッカー大好き結衣は、さっきまでの勢いはどこに行ったのかと思うくらい、緊張したように挨拶をして、稜君の笑顔に溜め息を吐きながら、丁度停車したタクシーに乗り込んだ。
だけど、思い出したように――というか、意識を取り戻したようにハッとして、タクシーの窓を開けた結衣。
「稜君!」
その声に、ちょっと驚いたような顔をした稜君だったけど、「はい」と返事をして、タクシーに近寄る。
「美月はワガママだけど、いい子だからっ! 末永くよろしく!!」
「ちょっ、ちょっと!! 結衣!?」
結衣の突然の発言に、慌てふためいた私。
それなのに、そんな私の慌てぶりなんて気にする様子もなく……。
「そのワガママなところもひっくるめて大好きなんで。平気ですよ!」
稜君は、楽しそうに笑って言ったんだ。
結衣を乗せたタクシーが走り去った後、恥ずかしくてちょっと黙り込んだ私の顔を、稜君はヒョコッと覗き込む。
「照れてる?」
「……」
「あはははっ!……あ! そうだっ!」
楽しそうに笑った稜君が、思い出したように、私の目の前に差し出したのは、バイクのヘルメット。
でも、それはいつも借りていたものとは違う物。
「可愛い……」
「気に入ったー?」
「え?」
「それ、美月ちゃんの!」
キレイな桜色のメットで、真ん中には白の太めのライン。
サイドにもラインと同じ色の星の模様が入っていて。
「美月ちゃんにぴったりでしょ?」
そう言って稜君は、それをいつものように、カポッと私の頭にかぶせた。