Do you love“me”?

「こ、こんばんはっ!!」

サッカー大好き結衣は、さっきまでの勢いはどこに行ったのかと思うくらい、緊張したように挨拶をして、稜君の笑顔に溜め息を吐きながら、丁度停車したタクシーに乗り込んだ。

だけど、思い出したように――というか、意識を取り戻したようにハッとして、タクシーの窓を開けた結衣。



「稜君!」

その声に、ちょっと驚いたような顔をした稜君だったけど、「はい」と返事をして、タクシーに近寄る。


「美月はワガママだけど、いい子だからっ! 末永くよろしく!!」

「ちょっ、ちょっと!! 結衣!?」

結衣の突然の発言に、慌てふためいた私。

それなのに、そんな私の慌てぶりなんて気にする様子もなく……。


「そのワガママなところもひっくるめて大好きなんで。平気ですよ!」

稜君は、楽しそうに笑って言ったんだ。


結衣を乗せたタクシーが走り去った後、恥ずかしくてちょっと黙り込んだ私の顔を、稜君はヒョコッと覗き込む。


「照れてる?」

「……」

「あはははっ!……あ! そうだっ!」

楽しそうに笑った稜君が、思い出したように、私の目の前に差し出したのは、バイクのヘルメット。

でも、それはいつも借りていたものとは違う物。


「可愛い……」

「気に入ったー?」

「え?」

「それ、美月ちゃんの!」

キレイな桜色のメットで、真ん中には白の太めのライン。

サイドにもラインと同じ色の星の模様が入っていて。


「美月ちゃんにぴったりでしょ?」

そう言って稜君は、それをいつものように、カポッと私の頭にかぶせた。

< 165 / 397 >

この作品をシェア

pagetop