Do you love“me”?
着信
その日、私はいつも通り仕事を終え、ロッカールームで着替えをしていた。
「……あれ?」
ふいに私の耳に届いたのは、マナーモードになっている、自分の携帯のバイブ音。
「あれれれー?」
キレイとは言えない鞄の中をガサガサと漁って、やっと見つけたそれの画面を覗き込んだ。
「……」
そのには“着信中”と、“最上 恭平”の文字。
最上さん?
「んー??」
確かにあの日、稜君と番号を交換した後、最上さんとも番号を交換した。
でも、まさか本当にかかってくるとは思わなくて。
一度は鳴り止んだ携帯が、また低い音を立てながら、振動を始める。
「……はい、もしもし」
ちょっと緊張しながら通話をタップした私は、ゆっくり口を開いた。
「あ、もしもし? 美月ちゃん?」
「はい」
「最上だけど」
「はぁ」
不意打ち過ぎて、何を話せばいいのかわからない私の口から出てくるのは、もはや返事と言うには程遠い言葉だけ。
「この前はどうもねー!」
「あ、いえ。こちらこそ、姉の為にありがとうございました」
一応大人なので、そんな言葉を口にしてみる。
「いえいえ! 楽しかったよ!」
電話の向こう側で楽しそうに笑っている最上さんだけど、やっぱり電話をかけてきた理由がわからない。