Do you love“me”?
「もう、すっかり仲良しだねー」
「稜君!」
ポーキーと遊んでいると、私はどうやら時間を忘れてしまうらしく、気が付くとお風呂から出て、頭にタオルを乗せた稜君が後ろに立っていた。
「ごめん、お風呂入る前に渡すべきだった!」
彼が手に持っていたのはドライヤー。
「ありがとう!」
それを受け取ろうと手を伸ばした笑顔の私に、フルフルと首を振る。
「え?」
そのままドライヤーをコンセントに差し込み、目をパチクリさせる私の後ろに座った稜君は、
「俺に乾かさせてー!」
そう言うと、カチッとドライヤーの電源を入れた。
温かい風が、ふわふわと髪を揺らす。
「美月ちゃんの髪、いい匂い!」
上機嫌にそんな事を言っている稜君だけど。
「稜君の家のシャンプー借りたから、きっと稜君と同じ匂いだよ」
どこか天然な稜君に、私は思わず笑ってしまう。
「そっか! 自分だと、匂いがよくわかんなくなるのは何でだろうね!?」
「ね! そうだよね!! 不思議だよねー!」
そんな他愛もない話なのに、稜君は振り向いて彼の顔を見上げる私に、すごく優しい笑顔を向ける。
「どうしたの?」
「いや、美月ちゃんと俺の感覚って、すごく似てるなぁって思って」
「……うん」
「やっぱり、美月ちゃんはいいなぁって思ってたところ」
ドライヤーを切った稜君は、私の乾いた髪に指を通して少し掬《すく》うと、そこにそっとキスを落とした。
「キレイな髪」
「……」
「ホントは、ずっとこうしたかった」
そのまま後ろから私を包み込んだ稜君の体は、いつもよりも熱くて……。
伝わる鼓動も、すごく速い。