Do you love“me”?

「えっと、今日はどうされたんですか?」

別に、急かすつもりはないんだけど。

着替えの途中で電話に出たせいで、上半身はキャミ一枚という、なんとも寒々しい出で立ち《いでたち》の私は、肩の辺りをさすりながら、そう口にする。


「あ、ごめんね! 今忙しかった?」

「いえ、今仕事が終わったところだったので……」

「そっか! じゃー、丁度良かった!」

「え?」

相変わらずの慣れた口調で話す最上さんは、その後、困惑気味の私をますます混乱させる一言を口にした。


「これから、食事でもどう?」

「へ?」

「ん? 食事。お腹、空いてない?」

「いえ。空いてない事はないですけど。……え?」

だって、なんで私?


「じゃー、行こうよ!」

ちょっと思考が追いつかない。


「私と、最上さんでですか?」

「そう! 嫌?」

嫌と言うか……。

正直な事を言ってしまえば、この前の二次会でのやり取りで、あまりいい印象を受けなかったのは事実。

でも、おねぇーと航太君とも関わりのある最上さんに“嫌です”なんて、キッパリとは言いにくい。


むむむ。
どうしよう。

こういう時、彼氏がヤキモチ妬きだったりすればそれを使えるんだけど、ヤキモチ妬きどころか、ここ数日連絡さえ取れていない。

嘘もありだと思うけど、それもちょっと胸が痛む。


むむむむー……。

だけど、考え込んで、無言になってしまった私に気付いた最上さんが、

「あ、そっか! じゃー、うちのスタッフの女の子も誘うよ! そうだよね。変に誤解とかされたら、美月ちゃんに迷惑かけちゃうよな」

優しい声でそう言ってくれたから。


「すみません……。それなら、ご一緒させて下さい」

結局、気が付いた時には、流されるように食事に行く事になっていた。

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