Do you love“me”?
どうしよう……。
パウダールームに逃げ込んだものの、ここからの作戦が浮かばない。
どうしよう、どうしよう。
焦るばかりで、思考が上手く働かないし、握りしめた手には、しっとりと汗をかいている。
鞄から携帯を取り出してはみたものの、誰に助けを求めればいいのかもわからなくて……。
一通り、アドレス帳を眺めてみる。
あんな人でも、最上さんは有名人。
今回のことは、不本意ではあるけど、私にだって責任はある。
だから、電話するなら最上さんにとっても害のない人じゃないといけない。
一体誰に連絡すれば……?
「……」
焦る私の目に留まったのは、おねぇーの携帯。
「ごめん、おねぇー……」
やっぱりそこに頼っていい案を出してもらう事しか出来そうにない私は、小さく呟いて、通話ボタンを押した。
「もしもし? 美月ー?」
「おねぇー……っ」
数回のコールのあと、向こう側から聞こえたおねぇーの声に、安堵の溜め息が洩れる。
「えっ? どうした!?」
ちょっと泣きそうな私の声に過剰反応した彼女に、私はここまでの経緯を手短に話したんだ。
すると、意外な返事が返ってきた。
「やっぱり航太が言った通りだったか」
「え?」
「航太がね、このないだの二次会でのやり取りを見て“多分最上さん、美月さんにちょっかいかけると思うよ”って」
「……」
「最上さん、結構そういうので有名らしくてさぁー……」
「そうなんだ」
それだったら、前もって教えておいてもらえたら助かったんだけど、そんな事を言っている場合でもない。
それを知ったところで、やっぱり解決策が浮かばない私は、困り果てて視線を足元に落とした。