Do you love“me”?
「あの、ごめんなさい。こんな時間に……」
「いや、大丈夫ですよ!」
開口一番で謝罪の言葉を口にした私に、稜君は、この前話しをした時同様、柔らかい口調で答えてくれる。
――それで、どうしよう。
だって、航太クンにそうしろと言われはしたものの、何度考えたって、何も関係のない稜君。
今更だけど、“やっぱり話さない方がいいのかもしれない”だなんて、そんな考えが頭を過《よぎ》る。
けれど、少し黙り込んだ私に、静かに声をかけてきたのは稜君だった。
「もしかして、今、最上さんと一緒ですか?」
何で、わかったの?
「え……っと、何でそれを?」
「あー、やっぱり」
独り言のように呟く彼に促され、取り合えず事情を説明する。
「最上さんに食事に誘われて……。何も考えずに来てしまった私が悪いんですけど」
本当は“他の女性も呼ぶ”って言われたことも言いたい気持ちはあったけど、自分の責任でこうなった以上、言い訳するのは卑怯な気がして、それはあえて口にはしなかった。
――なのに。
「美月さんは悪くないですよ」
稜君からかけられた、そんな言葉。
「え?」
「“他にも人呼ぶ”とか、言われたんでしょう?」
「……」
「あの人の、常套手段だから」
そう言って、溜め息を吐き出した稜君に、私はなんだか申し訳ない気持ちになったんだけど。