Do you love“me”?

「随分遅かったね。大丈夫だった?」

“大丈夫だった?”なんて、気を遣うような言葉を吐いている最上さんに、顔を顰めたくなる。


「あの、実はネックレスを無くしてしまったみたいで……」

「え?」

稜君に言われた通りの言葉を口にすると、ソファーから立ち上がった最上さんは、視線を私の首元に落とした。


「大事な物なので、ちょっと探したいんですけど」

言った瞬間、眉を寄せてちょっと苛ついた顔をした最上さんは、大きな溜め息を吐く。


「そんなの、ホテルに言っておけば探してくれるよ」

「でも、あれは彼に貰った物で……。外すなって言われてるんです」

引き下がる様子のない私に、彼の眉間の皺が深くなる。


「明日彼に会うから、ないと困るんです。浮気だと思われたら、絶対に相手の名前を聞き出そうとするだろうし……。取り合えずレストランだけでも探しに行ってみます」

何も言わない最上さんをその場に残し、歩き出した私。


きっと電話を切ってから、五分は稼げたはず。

後はレストランで適当に時間稼ぎをすればいい。

そう思っていたのに……。


「……っ!」

手首をグッと掴まれて、驚きながら振り返る。


「面倒だからいいよ」

「え?」

「あれと同じ物を、帰るまでにコンシェルジュに用意させればいい」


――なに、それ。

確かに私が付けていたネックレスは、誰もが知っているブランドの物。

だからどこかで手に入れようと思えば手に入るんだけど。


「何とかなるだろ。疲れたし、さっさと部屋に行くよ?」

そう言って、最上さんは私の背中をポンッと押した。

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