Do you love“me”?
「やっと来たなぁ~?」
バスタブの縁に腕を乗せ、その上に顎を付いたちょっと顔の赤い稜君が、楽しそうに笑っている。
「ごめん」
「平気だよ~。早く入ろ! って、お腹痛いの?」
お腹を隠す為に、そこに回した腕を見て、稜君が少し心配そうに表情を変えるから、私は慌てて首を振った。
「ち、違うの! 違うんだけど……」
「ん?」
「最近、ちょっと太っちゃって、余計に恥ずかしい」
照れ隠しの為に、誤魔化し笑いを浮かべながら頭をポリポリ掻く。
「……っ!」
そんな私に、スッと伸ばされた稜君の腕。
思わず体をビクつかせた私を余所に、その指が私の腰の辺りをスーッと撫でた。
「稜……くん?」
「ん~?」
暖かい浴室。
それなのに、その感覚に鳥肌が立つ。
だけど稜君は、そんな事を気にも止めずに、私を見上げながら微笑んだ。
「全然太ってなんかないよ」
「……」
「好きだよ? 美月ちゃんの事、全部。心も……体も」
笑いながら更に手を伸ばし、私の腰に腕をクルリと回すと、そのまま自分の方に引き寄せる。
「この手はいらないなぁ」
クスッと笑いながら、お腹を隠す手をどけると、おへその辺りにそっと唇を寄せ、キスをした。
「好きだよ」
上目遣いで私を見上げる稜君に、自分でもわかるくらいに顔が赤くなる。
「美月ちゃん、元が細すぎるんだよ。だから、ちょっと太ったとしても、まだ細いくらい!」
クスクス笑いながらそう言った稜君を、つい見つめてしまった。
――だって。
「ん?」
「……もっと太ってる方が好き?」
それって、そういうこと?