Do you love“me”?

ベッドに寝転んだまま、私は稜君のいる部屋の灯りを、ぼんやりと眺めていた。

“稜君は今、どんな気持ちなんだろう?”――さっきから、私の頭をグルグル廻るのは、その事ばかり。


私からしたら凄い事だと思うけれど、稜君からしてみたら……。

“試用期間が延びた”

そんな感覚なのかもしれない。


どこまでいったら、どこまで頑張ったら、彼の願いは叶うのだろう?

額に乗せた手の平が、妙に冷たくなっている事に気付いて、私はまた小さく溜め息を零す。


私は、稜君の為に何が出来る?

このまま、ここにいていいの?

日本にいたら、出来る事なんて限られている。

だけど、稜君と一緒に向こうに行ったら、今以上に何も出来ない気もする。

そもそも、それを稜君が望んでいるのかがわからない。


「んー……」

湧き上がるジレンマに、一人小さく唸って、寝返りを打つ。

きっと、もうすぐ稜君の口から聞かされるであろう今後の事。

稜君の言葉できちんと聞かせてもらいたいと思う反面、それを怖いと思う自分がいるのも事実。

もう、矛盾だらけだ。


“離したくない”

そう言ってくれた稜君。


私だって、気持ちの上では稜君を放せないし、離れるつもりもない。

それだけは絶対。

その上で、私達に与えられる選択肢は二つ。

稜君がどちらを選ぶにせよ、私はきちんと笑って、その気持ちを受け取ろうと思った。


そう決意した瞬間、扉を挟んだ向こうの部屋の稜君が、通話を終えた音がした。

それに合わせて、私はもう一度、瞳を閉じる。


溜め息を吐き出しながら寝室に戻ってきた稜君は、ベッドで寝たフリをする私の横に再び潜り込むと、少し冷えた身体で、私をギュッと抱きしめた。


そして、私のおでこにそっとキスを落とし、

「愛してる」

優しい声で、小さく、そう呟いた。


……うん。

“ごめんね”だなんて思わなくていい。

私が自分で、あなたとずっと一緒にいるって決めたんだから。

“ごめんね”よりも、“愛してる”。

その言葉の方が、私は断然嬉しいんだよ?


稜君だって、そんな事わかっているよね。


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