Do you love“me”?
その日の試合は快勝だった。
「ただいまぁー、ポーキー!」
とってもご機嫌な声が玄関から聞こえたのは、私とおねぇーが稜君の部屋に戻って来てから、少し経った頃だった。
最初にリビングに顔を出したのは、玄関先まで迎えに出ていたポーキーを抱きかかえた稜君。
「そのブタ、でかくなってねぇか? もうすぐ食べ頃か」
それに続いて、“くくくっ”と笑いを漏らしながら、航太君が部屋に入ってくる。
「おい、食べ頃とか言うなっ!!」
そんな事を言って、目の前で足を蹴り合いながら楽しそうに笑う二人。
航太君に話があると言った稜君も、それを告げられた航太君も――本当にいつもと変わらない様子。
それを食事を終えたあとも変わらずに……。
私は、二人の様子をどこかボーっとしたまま眺めていた。
「……美月?」
洗いかけのお皿とスポンジを手に持ったままの私の背後から聞こえた心配そうな声は、もちろんおねぇーのもの。
「どうした?」
「あー、ゴハン食べ過ぎちゃったみたい。頭がボーっとする!」
「……そっか」
なんて、おねぇーはこんな嘘、お見通しだよね。
本当は、稜君が航太君に何を話すのか、それが気になって、ゴハンは上手に喉を通らなかった。
“しっかりしないと”という気持ちと、拭い去れない不安な気持ち。
それが胸の中を重たくして、気付けばこんな風に、二人の様子を目で追ってしまう。
だからかな?
私の頭を、ポンポンと撫でたおねぇーの手が、いつもよりも何だか大きく感じたのは。
瞬間、まるで私の不安な気持ちに気付いたかのように、突然稜君が振り返ったからドキリとした。