Do you love“me”?
「“ラッキー”?」
「はい!」
彼の言葉をくり返した私に、笑いながら返事をした稜君は、何かを思いついたように私の顔を覗き込んだ。
「美月さん。助けたお礼に、ちょっと付き合って貰いたい所あるんですけど!」
「え? 今から、ですか?」
「あっ! 別に変なトコじゃないんで、安心して下さい!」
「はぁ……」
別に稜君を疑うつもりは全くないから、いいんだけど。
何となく納得がいかないのは、彼がにっこり笑顔を浮かべているものの、私の“どこに行くのか”という質問には全く答えずに、歩き出したからだと思う。
そんな私に気付いている感じなのに、稜君はやっぱり何も言わずにホテルの出入り口に向かって歩いて行ってしまうから。
だから私も、それ以上追求する事はやめて、取り合えずその背中を追って歩き出したんだ。