Do you love“me”?

それから、着替え終わって部屋に戻ってきた航太君に稜君はしばらく文句を言い続けて、呆れたように溜め息を吐かれていた。


「もう知らねー。本当は空港まで一緒に行こうと思ったけど、俺は美月ちゃんとバイクで行ってやる」

「あー? 別にいいよ。てか、見送りも玄関でいいし」

「それはダメだ!! 航太はどうでもいいけど、美青ちゃんのお見送りに行くんだから!!」

「あっそ」

そんな事を言いながらも、航太君が大好きな稜君に、思わず笑いが漏れてしまう。


「美月ちゃんも笑わないっ!」

「だってー」

「“だって”じゃない!!」

さっきの事をよっぽど根に持っているらしい稜君のご機嫌は、一体どうしたら直るのか。


「もー……。じゃーこれで許してー」

そう言いながら、私は稜君の大好きなイチゴをフォークに刺して、口の前に差し出してみる。


「まったく! 俺はそんな安い男じゃないぞっ!!」
「……食ってんじゃねーかよ」

「そりゃ食うだろ! お前だって、美青ちゃんに“あーん”されたら食うだろ!!」

「あー、うちは俺がする側だから」

「ちょっと航太、嘘吐かないでよ!! されないしっ!!」

「じゃー、やっぱり美青ちゃんがするんだ」

「いやいや!! しませんから!!」

「おい、嘘吐くなよー」

「もういいから航太は黙ってて!!」

「あはははっ!! もうやめてっ!! 笑いすぎてお腹痛いー!!」


結局いつものように四人で騒がしくご飯を食べて、少し休んでから、おねぇーと航太君はタクシーで、稜君と私はバイクで空港に向かったんだ。


< 310 / 397 >

この作品をシェア

pagetop