Do you love“me”?
「あと、あの部屋なんだけど」
「解約、する?」
私の言葉が予想外だったのか、一瞬驚いた表情を見せたあと、彼は少し目を伏せながら小さく頷いて、
「うん。来年の三月いっぱいで」
申し訳なさそうに、そう言ったんだ。
「もー! 稜君!! そんな顔しないで!」
「ごめん」
「謝らないっ!! 稜君は謝るような事なんて何もしてないんだから!!」
「……うん」
「私なら、平気。一年なんてあっという間だし、また会いに行くから」
「うん」
「電話もメールも、一方的にするし!」
元気に言い切って見せた私に、やっと少し笑顔を見せてくれた稜君は、ゆっくり顔を寄せて、唇にそっとキスを落とした。
唇を離した後、至近距離で私を見つめる稜君の瞳は少しだけ茶色くて、やっぱりすごくキレイだと思った。
「美月ちゃんがいてくれて、よかった」
「……」
「美月ちゃんがいてくれるから、もっともっと頑張れる」
私の腕を掴んで引き寄せた稜君は、その温かい腕で私をギューっと抱きしめる。
「……っ」
よかった。
これで、ほんの少し潤んだ瞳を見られないで済む。
稜君の、トクトクと耳に響くその心臓の音が心地よくて、私はそっと瞳を閉じた。
いつか、一緒にいられるようになるその日まで、私は頑張れるから……。
ずっと繋がる空の下で、あなたの夢が叶うように、私はずっと願っているから。
だから稜君も、どうか負けないで。