Do you love“me”?
意外な実に驚く私に、航太君は静かに話を続ける。
「稜の話にも通ずると思うんですけど……。話さないのは信用してないからじゃなくて、絶対的な信頼を置いているから、限界だと思うまでは話さないで頑張ろうって思うんです」
「絶対的な……信頼?」
「はい。だから“最後の砦”」
フッと笑いながらそんな言葉を口にした航太君だったけれど、
「でもね、美月さん」
それまでの柔かな口調から、少し静か私の名前を呼んだ彼に、息を呑んだ。
「本当にどうしようもなくなったその時は、やっぱり傍にいて欲しいって、そう思うと思います」
「……」
「俺もそうだけど、きっと稜も」
「……っ」
真剣な航太君の言葉に、私は何も言えなくなってしまった。
だって、稜君が本当にどうしようもなくなった時、私はすぐに稜君の傍に行けるのだろうか?
「航太君……?」
「はい」
「稜君がどうなった時が“本当にどうしようもなくなった時”……?」
そう聞いた私の声は、少し震えていたと思う。
頭に過《よ》ぎるのは、実際にその時がきたら、もう手遅れになってしまうのではないかとか、そんな縁起でもない事ばかり。
だけどそんな私に、航太君は言ったんだ。
「それは、美月さんが一番に気付くんじゃないですか?」
「私が?」
「今は分からなくても、きっとその時が来たら分かると思います」
「その時でも、手遅れにはならない?」
その私の問いかけに、航太君はまた少し笑う。
「もし万が一美月さんが気付かなかったら、手遅れになる前に、あいつは最後の砦に駆け込みますよ」
「……」
「だから辛くても、あいつの事見てやってて下さい」