Do you love“me”?
そうする理由
脱水機にかけられているみたいな物凄い風を受けながら、私は稜君の背中にギューッとしがみついていた。
薄手のコートを羽織っているのに、バイクで風を感じ続けるとちょっと肌寒くて。
だけど、稜君とくっついているところはポカポカ温かい……。
何だか、すごく不思議な感覚。
ホテルを出てから、どれくらい走り続けたのだろう。
よくわからないけれど、ゆっくりと止められたバイク。
私の目の前には、広い平らな敷地と白い光を放つ建物があって、それにオレンジ色のたくさんのライト。
「……!」
そして頭上には、轟音を響かせながら飛んで行く飛行機。
「ここ、空港?」
ポツリと呟いた私に、メットを外して飛び立った飛行機を見上げた稜君が、
「正解!」
嬉しそうに、そう答えた。
「で、」
「え?」
「一回、離れましょうか」
「はい?」
そう言われて、ハッとした。
「ご、ごめんなさいっ!!」
その景色に気を取られていたばっかりに、稜君にギューッとしがみついたままだった自分に気が付いて、パッと腕を離す。
私の様子に“あははっ!”と笑った稜君は、バイクのエンジンを切ると、私のメットを外してくれた。
「行きましょっか!」
まだ気持ちが落ち着かない私とは対照的に、いつもと変わらない様子の稜君は、前をゆっくりと歩き出したんだ。