Do you love“me”?

「美月」

「うん」

「愛してるから――」

「……」

「もう少しだけ、待ってて」

「……っ」

そのまま私の返事を呑み込むように唇を塞いだ稜君は、静かに唇を離した後、いたずらっ子のように笑って言ったのだ。


「布団はもうないけど、ベッド送るの最後にしてよかった」

「えっ!?」

そのまま驚きの声を上げる私の身体をひょいっと持ち上げ、足で器用に扉を開けると、寝室のマットだけになったベッドの上に、私をポーンと放り投げた。


「わぁっ!!」

ビックリして大声を上げる私を見て、ケラケラと楽しそうに笑うと、

「さっき、元気って言ってたもんね」

覆いかぶさりながらそんな事を言って、今度はさっきよりも深く深く、私の心臓を狂わせるキスを落としたんだ。


短い呼吸を繰り返し、お互いの熱を伝え合う。

もう何度も体を重ねたはずなのに、稜君に抱きしめられる度、まるで初めての時のようにドキドキしてしまう。


さっきまで少し肌寒かった部屋も、今ではもう熱いくらいに感じる。

私は稜君の首に回していた腕をそっとほどき、そのフワフワの髪の毛に指を通した。

そしてそのまま、耳の後ろ辺りまで指を流し、ぼんやりと開いた瞳で稜君を見上げる。

その瞬間、動きを止めて顔を上げた稜君が、私の目を見ながらフッと笑った。


「それ、癖?」

「……え?」

少し苦しそうな呼吸のまま紡がれる稜君の低い声に、また私の胸がキュッとなる。


「その指」

「指?」

「ん……」

また少し笑うと、私の髪をサラリと梳いて、その長い指を耳の裏辺りにそっと這わせた。


「……あっ」

ピクリと反応してしまった私を見て、ちょっと困ったように笑った稜君は、

「俺、それにすげー弱いっぽいんだけど」

私の唇を一瞬塞ぎ、そのまま耳元に移した唇で囁いた。


稜君が愛おしい。

一緒にいたら、心はこんなに穏やかで、こんな毎日がずーっと続いたらって、私は心から思うんだ。


――きっと稜君も、同じ気持ちだよね?


「稜君?」

「ん?」

「幸せ」

「……俺も幸せ」

そう思っていて、いいんだよね?


< 330 / 397 >

この作品をシェア

pagetop