Do you love“me”?


「すごい! すごーい!!」

連れてこられた場所から見える光景に、私は大喜びして大声を上げた。


稜君が連れて来てくれたのは、空港の傍の海浜公園で、頭上スレスレを着陸する為に高度を下げた飛行機が飛んで行く。

振り返ると、空港のオレンジの光が瞬いていて……。

大はしゃぎしながら、飛行機が飛ぶ空に両手を伸ばした。


「そんなに喜んで貰えるとは、思わなかったです」

上を向いたままの私に、嬉しそうに言葉を落とした稜君は、パタリと草の上に横になる。


「気持ちいいですか?」

「え?」

「寝っ転がるの」

「ああ! かなり!」

ニコニコ笑う稜君を見ていると、本当にすごく気持ち良さそうで……。


「じゃー、私もーっ!」

同じようにパタンと横になって、空を見上げた。

空港の明かりで星は見えなかったけど、それでも、心の中のモヤモヤがスーッと消えていくような、心地いい、不思議な感覚に包まれる。


「ここに来ると……」

「え?」

突然口を開いた、隣で寝っ転がる稜君に視線を移すと彼は相変わらず空を見上げたまま。


「ここに来ると、嫌な事とかシンドイ気持ちが、何でか消えちゃうんですよねー」

そんな言葉をポツリと呟いた。


――あぁ、そうか。

「ありがとうございます」

「……何がですかー?」

私の言葉に、すっ呆けて笑うのも、きっと稜君の優しさ。

きっと稜君は、今日の最上さんに抱いた嫌な気持ちを、消してくれようとしたんだよね?

< 34 / 397 >

この作品をシェア

pagetop