Do you love“me”?
「でも、その人にはずっと付き合ってる人がいて、最上さんは気持ちを伝えられなくて。“それでもいいから”って言われて、真由美さんと付き合い出して、子供が出来て」
「……それで、結婚を?」
それも酷い話だと思うけど。
「まぁ、真由美さんの事もちゃんと好きなんだとは思いますよ」
「……」
「でも、心のどっかで、どうしても諦められない人もいて……」
そこまで言うと、一度息を吐き出した稜君は、
「悔しい事に、俺もその気持ちが、ちょっとだけわかっちゃうんですよ」
そう呟いた。
そして、何も言えないでいる私に、自嘲的な笑みを浮かべならが言ったんだ。
「だからって、やっていい事と悪い事があるけど……。最終的に最上さんを嫌いになれないのは、それを知ってしまってるからかもしれないです」
一番大切な人には、他に好きな人がいて、諦めきれない想いを抱きながらも、他の人を選んだ最上さん。
稜君も、その気持ちがわかるの?
そんな彼に、やっぱり何て声をかけたらいいのかわからなくて、私は俯いて黙り込んだ。
「まぁ、その話はいいとして」
その少しだけ重たい空気に気が付いたのか、稜君は僅かに声のトーンを上げて話し始める。
「ないとは思いますけど、もしもまた最上さんから連絡がきたら、すぐ俺に連絡下さい」
「え、でも」
「“でも”じゃなくて! ちゃんと連絡して下さい」
「いいんですか?」
「もちろん! 何とかしますから!」
私を見つめたまま、にっこり笑った稜君に、心臓がドクンと大きな音を立てる。