Do you love“me”?


しばらく呆然としていた。

何が起こったのか。

頭の中を整理したいのに、乱暴にかき混ぜられた感情が、どうしてもその邪魔する。


「はぁ……」

吐き出す息も、視線を落とした手の平も。

自分でも驚くほどに、震えていた。


見つめる手の平をギュッと握り、大きく深呼吸をする。


「……大丈夫」

よくわからないけれど、自分に言い聞かせるように小さく呟くと、鞄から携帯を取り出した。


それを開いた瞬間――。

もうどうしようもないくらい胸が苦しくなった。


「……っく……もう、やだぁ……」


“21:08”

表示されるその文字は、一瞬のうちに溢れ出た涙で霞んで見えなくなったのに……。

閉じた瞳の瞼の裏に、まるで張り付いたように鮮明に残っていて、それがまた、私の胸をギューッとしめつける。


稜君、ごめんね。

私……間に合わなかったんだね。


あの時、残業をもっと早く切り上げてたら。

あの時、駅に向かわず、すぐにタクシーを拾っていたら。

あの時、タクシーを降りなかったら。

考えてもどうしようもない“あの時”の選択肢ばっかりが、頭に浮かぶ。


どこまでも計画性のない自分が、本当に嫌になる……。


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