Do you love“me”?
別に、稜君が私を好きなんじゃないか、とかそういう自惚れがあったわけじゃない。
だけど……。
「何で」
「え?」
「何で、そこまでしてくれるんですか?」
ただ純粋に疑問に思って、聞いてみたくて。
気が付いた時には、そう口にしていた。
――けど、聞かなければよかったのかな?
「だって、美月さんは、大切な人の妹さんだし」
彼は私を優しい瞳で真っ直ぐ見つめて、そう口にした。
大切な“美青ちゃん”の妹だから。
それが、私を助けてくれる理由。
さっきまでは柔らかい音を立てていた心臓が、一気にその音を変える。
ズキズキ、ズキズキ……重たくなっていく。
“大切な人”――……。
あぁ、やっぱり。
やっぱり稜君は、おねぇーの事が好きなんだね。
頭の中の“そうなんじゃないか”が、“やっぱりそうなんだ”という確信に変わる。
親友の航太君の事が大好きなおねぇーを、この人は一体どんな気持ちで見つめているんだろう……。
さっき私の胸を襲った痛みは、きっとそれを想像してしまったから。
だから、あんなにも痛んだんだ。
それと同時に思い出したのは、さっきかぶったメットから香った、女の人の甘い香水の香り。
そして“最上さんの気持ちが、ちょっとわかってしまう”と言った、稜君の表情。
稜君も他の人と付き合いながら、心のどこかで、おねぇーを想っているんだろうか。
そんな事を、一人考え込んでいる私に、
「それに――」
稜君が、もう一度何か続きを口にしようとした瞬間。
~♪~♪♪~♪~
鞄の中の私の携帯が、小さな音を立てた。
「ごめんなさい……」
一言謝って、取り出した携帯の液晶には“相澤 秀”の文字。