Do you love“me”?


あの日、バイクで私を家まで送ってくれた稜に
家の前でメットを外した私は、もう一度頭を下げた。


「今日は本当にごめんなさい。あと、ありがとうございました」

そんな私を彼はじーっと見つめ、「う~ん」と考え込むように唸ったあと、言ったんだ。


「美月さん! 敬語、やめません?」

「へ?」

「敬語! 何か慣れないって言うか、しっくりこない」

しっくり、とは……?

よくわからず顔を顰める私とは対照的に、彼はやっぱりにっこり笑顔。

突然の提案に私が戸惑うのは、稜君とこうして会う事はもうないんじゃないかと思っていたから。


今日は、こんな――言ってしまえば“パシリ”みたいな事をさせてしまったけど、よくよく考えたら、稜君は国民的大スターなワケで。


「うん! これからは敬語はナシでっ!!」

だから私は、そう断言した稜君に、

「う、うん! わかったー……」

何やら歯切れの悪い返事をすることしか出来なかった。


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