Do you love“me”?
――あぁ、そうか。
“美月さん”
“美青ちゃん”
どうして今更、こんな事を気にしているんだろう。
別に、稜君に悪気もなければ、他意もない。
だけど。
「稜君って、おねぇーの事は“美青ちゃん”なのに、私の事は“美月さん”だよねー。何か……変なの!」
大好きなおねぇー。
それなのに、こんな気持ちを抱いてしまう、自分が大嫌い。
キリキリと痛む胸。
自分の卑屈さが嫌になって、話題を変えようとした瞬間、
「ホントは“美月ちゃん”って呼びたいんだけど」
隣からそんな声が聞こえて……。
驚いて視線を向けると、そこには、ちょっと気まずそうに笑う稜君の姿があった。
「えっと、ね?」
彼はその気まずそうな表情のまま、首を傾げて、私の顔を覗き込む。
「美青ちゃんの場合は、周りの先輩達が“美青ちゃん”って呼んでたから、つられて同じように呼び始めたんだけど……」
「……」
「美月さんは、航太も“美月さん”って呼んでるし?」
まぁ、確かにそうなんだけど。
「ホントは、敬語なくしたタイミングで“美月ちゃん”に直したかったんだけど」
「え?」
思いがけない発言につい声を漏らした私を見て、ちょっと照れたように笑った稜君は、視線を足元に落とし、
「“生意気な子!!”とか思われたら嫌だなーと思って、直せなかった」
“俺、ヘタレだから”と付け足して、今度は困ったように笑ったんだ。