Do you love“me”?
「キャプテンとかに、うちでイチャついてたって言ってやろ~」
「稜……マジでやめろよ?」
眉間にシワを寄せながら真顔で稜君に念を押した航太君が、私に視線を向けた。
「美月さんはどうしますか? もし帰るなら、タクシー呼んで一緒に……」
だけど、おねぇーと航太君が泊まってるホテルは、稜君の家から結構近くて、私がいると確実に遠回りさせてしまう。
「あー、私は……」
そんな事を考えて、返事を濁した私の代わりに、結論を出したのは何故か稜君だった。
「もうちょっとお酒呑んでから、俺が送ってく! だから、航太は先帰っていいよー」
「え?」
思いがけない提案にちょっと驚いた私と、一瞬稜君を見て、目を丸くしたあと、何故かフッと笑った航太君。
「了解。じゃー悪いけど、先帰るわ」
そのまま部屋に戻った航太君は、おねぇーの前にしゃがみ込み、優しく髪を撫でながら一言二言声をかける。
ゆっくりと目を開けた真っ赤な顔のおねぇーに、呆れたように、でも凄く優しい顔で笑うと、彼女を支えるようにして立ち上がらせて、こっちに軽く手を上げ、部屋を後にしたんだ。
「やだ、航太ってば甘々~!!」
それを見ていた稜君は、楽しそうに笑ったあと、私に視線を移して、
「気ぃ遣わないで、送ってもらえば良かったのに! 航太、ビビるほど稼いでるんだから」
そう言って、今度はいたずらっ子のように笑った。
「“遠回りになる”とか考えちゃったんでしょー?」
「……うん」
ちょっと気まずそうに笑った私を、フッと笑った稜君は、「美月ちゃんは、優しいね」と一言言って、ポンポンと私の頭を撫でた。