Do you love“me”?

「しかもあの可愛らしい王子様フェイス!!」

「はぁ……」

確かに、王子様フェイスではあるけどさ。

「ダメなの?」

気の抜けた返事しか出来ない私に、結衣はズイッとその顔を寄せる。


でも……。


「わかんない」

「何それ~」

それが正直な気持ち。


「だってさー、……あれ?」

「ん? どうした?」

「いや、携帯が」


鞄の中で、マナーモードになったままだった携帯を取り出すと、

「秀君だ。ちょっと、ごめん」

そこに表示されてたのは“相澤 秀”の文字で、結衣に一言断った私は通話をポチッとタップした。


「もしもし? 秀君?」

「あぁ。今、平気?」

「平気だけど、どうしたの? 珍しいね」

「いや……。こないだ怒らせたから」

「ふぅーん」

「ホント、ごめんな?」

「だって、実験なんでしょ? 仕方ないじゃん」

若干の怒りをぶり返したものの、平静を装う私の目の前では、“ほらね!! 気ぃ遣ってるじゃん!!”という顔をした結衣が、大袈裟に溜め息を吐く。


「ホント、ごめん。……美月、友達とかと行く?」

責任を感じてか、申し訳なさそうに、そんな事を聞いてくる。


「行かないよ」

「そっか……。来年は一緒行こうな?」

「……わかった」

若干不貞腐れながらの私の返事に、彼は安心したように電話を切った。


「何だって?」

「花火の事。ごめんって」

「ふーん」

鞄に携帯を戻す私を見つめたまま、何かを考え込んだ結衣が“閃いた!”と言わんばかりの顔をしたから、何だかとっても嫌な予感はしたんだけど。


「ねぇ! 花火、一緒行こうよ!!」

「はぁっ!?」

さすがにここまで空気の読めない提案だとは、思いもしなかった。


「だって結衣、彼氏と行くんでしょ?」

「いいじゃん、一緒行こうよ! 浴衣だって買ったんでしょ?」

「そうだけどー」

「じゃー決まりっ!!」

「いやいや、ちょっと待ってよ!!」

それから散々断ったけど、結局結衣は譲らなくて、申し訳ない事に、私は結衣と結衣の彼氏さんと一緒に花火大会に行く事になってしまった。

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