Do you love“me”?
「友達、よかったの?」
「う~ん。今回は不可抗力という事で」
私の質問にちょっと気まずそうに笑った稜君は、言葉とは裏腹に、何だか少し楽しそう。
「ごめんね?」
「え? 何でー?」
「だって、気を遣ってくれたんでしょ?」
きっと結衣カップルと――私に。
そんな私の心配を余所に、一瞬キョトンとした稜君は、ちょっと困ったように笑う、
「それはちょっと違うかも」
だけど次の瞬間には、コロッとその表情を変え、今度はいたずらっ子のように笑って言ったんだ。
「敷いて言うなら……ただの、私欲?」
「え?」
“私欲”とは……?
眉根を寄せた私に“こっちの話!”と告げると、私の顔を覗き込みながらにっこり微笑んだ。
「さてっ! まだ花火まで少し時間あるし、ちょっと歩ける?」
「う、うん」
「よし! じゃー、行こっか!」
何だかよくわからないまま、結局一緒に行く事が決定してしまったらしく……。
オレンジのライトを灯すたくさんの屋台の中を、二人で並んで歩く。
隣の彼の存在はまだ若干気になるものの、さっきよりはだいぶ落ち着いた心臓。
「お祭りって、楽しいはずなのに、ちょっと切ない気持ちになる時がある」
ライトに照らされるたくさんの人達の笑顔を見ながら、ポツリとそう口にした瞬間、稜君が少し驚いたような顔で私の瞳を見つめた。
「それは何で?」
「何でだろ……。よくわからないんだけど、昔からそう」
「……」
「終わるのが分かってるからかな?」
自分の言葉に確信も持てないまま首を傾げると、目を細め、柔らかい表情を浮かべた稜君が口を開いた。
「お祭りが終わるとさ、夢から覚めて、一気に現実に引き戻されちゃう感覚がする」
その言葉は“正にその通り!”という感じで、心の中にあったモヤモヤが一気に晴れていく。