Do you love“me”?
涙
あの花火の日から、一ヶ月とちょっと。
私は今日も床に寝転がりながら、ポーキーの遊び相手をしている。
「美月ー? そろそろ帰って来るみたいだから、テーブルにこれ運んどいてー」
おねぇーの声にピクリと反応したポーキーの頭をひと撫でしてから、ゆっくりと起き上がった。
「はいよー。どれ運んでいいの?」
ヒョコッと頭を出して覗き込んだキッチンには、もの凄い量のお料理。
「おねぇー……?」
「んー?」
「誰がこんなに食べるの?」
「えー? 航太と川崎君と美月でしょ?」
さも当然と言わんばかりに、おねぇーの口から発せられた名前の中には、何故か私の名前も。
「私もかい」
「あははっ! 冗談!」
ちょっと顰めっ面をしながら突っ込んだ私を見た彼女は、楽しそうに笑いながら、つけていたエプロンを外して適当に畳んで――というか、丸めて鞄にしまい込んだ。
「“残ったら冷凍しとくから、いっぱい作っといて~!”って言われてさ」
「誰に?」
「んー? 川崎君」
「……へぇ」
返事に、ちょっとの間が出来てしまうは仕方がないよね?
そんな私の様子を探るように、おねぇーがチラッと視線を向ける。
「なに?」
「最近、川崎君ちょっとお疲れみたいだよー? ゴハンとか、家でまともに取る時間もないみたいだって航太が言ってたけど」
「そう、なの?」
おねぇーの言葉を聞いて私が驚いてしまったのは、あの花火大会の日から、毎日のようにLINEでやりとりをしているのに、彼が全くそんな素振りを見せていなかったからで……。