Do you love“me”?
「航太も“向こうが言ってくるまでは聞かない”って言ってたから、理由はわかんないんだけど」
そのまま少し困ったように、小さく溜め息を吐く。
だけど、その話を聞いて無言になった私を見ると、さっきまでの表情を一変させた。
「美月、川崎君と毎日LINEしてるんでしょ?」
そのまままるで何かを楽しむように、ニヤリと笑ったおねぇーは、
「そんなに仲良しなら、時々ゴハンに誘うなり、可能なら、ゴハン作ってあげるなり、してみたら~?」
そんなとんでもない事を言い出す。
「え!? ゴハンっ!? てか、メールしてること何で知ってんの!? 誰情報っ!?」
軽くパニックを起こしながら、言ったものの。
「航太君か……」
それしか犯人は思いつかない。
「あの小僧、大人しそうな顔して……。プライバシーの侵害だ!!」
「まーまー、そんな顔しないで。ほら! 最近、試合の事で時々電話してて、その時たまたま聞いただけらしいから!」
「でもねー、」
この前の“年上キラー”の事だってあるし。
だけどおねぇーが、未だに納得のいかない私の膨れた頬をいつもの調子で両側にギューっと引っ張っるから、仕方なくブスッと黙り込む。
「さっ! 準備しなきゃ!」
「……」
不貞腐れた私を放置して、またパタパタとキッチンに向かうおねぇーの後ろ姿を見ながら、正直なところ、ちょっとショックを受けていたんだ。
だって、私からの感情は別として……。
愛だの恋だのの感情がなかったとしても、疲れているなら、それなりにその素振りを見せて欲しかった。
そしたら私だって、やり取りを早く切り上げたり、稜君の身体を気遣う事が出来たのに。
何より、自分がそれに全く気付けなかった事を思うと、ちょっとしょんぼりしてしまう。
そんなしょんぼりな私が、足元にいたポーキの頭を撫でようとした瞬間、彼――彼女?――は、今日一番の速さでドアに駆けて行ってしまった。
それとほぼ同時に聞こえたのは、
「たっだいまぁー!」
「あーもー……。お前、声でけぇよ」
稜君の元気な声と、お疲れな様子の航太君の声。
こうして聞いてると、むしろ航太君の方が疲れているような気がするけど。