恋、涙 …【3】〜俺の大切なもの〜
「結愛……よしよし。どうしたのー…?」
希が一生懸命あやすけど、一向に泣き止む気配はない。
どうやらお腹がすいた訳でも、オムツを換えて欲しい訳でもなさそうだ。
「結愛…?」
結愛はまだ言葉も喋れない赤ちゃんだし、何を伝えたいのかわからない。
仕方なく、俺はお義母さんが今日置いて行ったという、茉央の時も使ったガラガラを手に取った。
振ると独特の音が鳴り、大人の俺でも優しい気分になってくる。
「結愛……ほら、大丈夫。」
声をかけながらガラガラを鳴らすと、結愛はピタッと泣き止んだ。
「すごーい……」
希もびっくりしているが、俺だって同じだ。
これでいいのか…?結愛。
同室のお母さん方の視線も浴びながら、俺はしばらく結愛にガラガラを鳴らし続けていた。