恋、涙 …【3】〜俺の大切なもの〜



「結愛……よしよし。どうしたのー…?」



希が一生懸命あやすけど、一向に泣き止む気配はない。



どうやらお腹がすいた訳でも、オムツを換えて欲しい訳でもなさそうだ。



「結愛…?」



結愛はまだ言葉も喋れない赤ちゃんだし、何を伝えたいのかわからない。



仕方なく、俺はお義母さんが今日置いて行ったという、茉央の時も使ったガラガラを手に取った。



振ると独特の音が鳴り、大人の俺でも優しい気分になってくる。



「結愛……ほら、大丈夫。」



声をかけながらガラガラを鳴らすと、結愛はピタッと泣き止んだ。



「すごーい……」



希もびっくりしているが、俺だって同じだ。



これでいいのか…?結愛。



同室のお母さん方の視線も浴びながら、俺はしばらく結愛にガラガラを鳴らし続けていた。






< 11 / 15 >

この作品をシェア

pagetop