恋、涙 …【3】〜俺の大切なもの〜
「おはよう、一真くん。」
学校に行く前に俺が立ち寄ったのは、希の実家。
お義母さんには家を出てすぐ連絡を入れていたから、玄関の前で待っていてくれた。
「おはようございます。いつも朝早くにすいません。今日も…お願いします。」
「ふふっ……はい、お預かりします。」
俺はそう言って、まだ寝ている茉央をお義母さんにそっと渡す。
「一真くん、今日も遅いの…?」
「いえ、まだわかんないんですけど…今日は、病院行きたいと思ってます。」
きっと『アイツ』なら…
協力してくれるはず。
でもまだ決定じゃないし、曖昧にそう答えた。
「決まり次第連絡入れます。…じゃ、行ってきます。」
「わかったわ。行ってらっしゃい、一真くん。」
お義母さんに見送られ、俺はもう一度車に乗って学校を目指した。