僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
風呂から上がり、自分の荷物を片付け、ベットを整えた。
そろそろ戸締りを確認して寝ようかと階下へ降りると、まだ居間には明かりが付いていた。
「弘美さん、もう十一時ですよ。そろそろお風呂、入ったほうが……」
「あっ、そうね」
彼女は手に持った本にしおりを挟むと、ソファの上にそれを投げ出した。
「そういえば、君、仕事は決まったの?」
思い出したように、弘美さんが僕に問いかけた。
「何件か派遣会社に登録はしましたけど、暫くは期待できそうにないので、近くのコンビニでアルバイト決めてきました。明日からシフトは入ります」
「そう、よかった」
彼女は興味なさそうに頷くと、部屋を出て行った。
(コンビニのアルバイトじゃ、そう喜ぶわけにもいかないか)
僕は弘美さんのそっけない態度がちょっと気に掛かった。
できればもう少し、僕に興味をもってもらいたい。
僕のことを気にかけてもらいたい。
できれば、僕を必要としてもらいたい。
(頑張るしかないか……)
僕は一人、気弱な決意を口にする。