僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
それは突然の出来事だった。
「もういい、ありがとう」
弘美さんはそう言うと、両手を床について上体を起こしてしまった。
僕は、何が何だか分からず呆然としていた。
「ありがと、ほんと、もう十分。凝りもほぐれたみたい。もう遅いし、髪乾かして寝るね」
弘美さんは僕に背を向けたままそう言うと、静かに立ち上がった。
弘美さんが突然、僕の手を拒否した理由。
昨日の夜のことが頭に浮かんだ。
(まさか、な……)
僕は、頭に浮かんだその考えを必死に否定しながら、弘美さんの残していったタオルを拾い上げた。