僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
考えても仕方ない。
(明日は朝早いし、ゴミでもまとめとくか)
気を取り直し、僕は何気なく彼女がソファに投げ出した本に手を伸ばした。
タイトルは〈ケアマネージャー完全試験対策〉。
(ケアマネージャーの資格、取るんだ……)
どこまでも前向きな弘美さん。
(歳なんて関係ない。彼女はいつでも僕の前を歩く大切な女性だ。おまけに僕の命の恩人で、女神だ)
彼女を抱いた、小さな振るえる肩の感触を思い出す。
今の僕にとって、彼女こそ、世界中で一番、幸せになって欲しい女性。
自分に代えても、守りたい女性。
(認めてもらえるまで、頑張るしかないよな……)
一人残された居間で、僕はもう一度、そう自分に言い聞かせた。