僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?

「なにぃ、あの狭い家に弘美と住んでるのかぁ」

って、彼の言葉は余計火にパパの誤解に油を注いだみたいで。

パパはそのまま彼に殴りかかったの。

でも、所詮酔っ払い。

その力ない拳は、彼の手でがっちり掴まれて、パパは身動きできなくなっちゃった。


かっこ悪い……


「あの、落ち着いて、どこかでお茶でも……少し酔いを醒ましませんか……」


彼は全然悪くないのに、相当ショックを受けたみたい。


「俺はもう帰る! これ以上、話すことはない!」


よっぽど恥ずかしかったんだね。

パパは大きな声で啖呵を切って彼の手を振り払うと、そのまま真っ直ぐ歩き始めた。

だからも仕方なく、あたしはパパの後を追ったの。

直ぐに追いついて、パパの腕をとると、パパは微かに震えてた。

パパもショックだったんだね。

ママが若い男と暮らしてるって知って。

自分のことは棚に上げて、身勝手だとは思うけど、やっぱりちょっと可哀想だなって思っちゃった。
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