僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?

それから、大通りに出てタクシーを拾った。

「いつからだ」

って、車の中でパパはやっと口を開いたの。

「二ヶ月前くらいからだよ。でも、彼氏とかじゃないよ、只の下宿人」

って、安心させようと思って説明したんだけど。

「あんな狭い家で、男と女が一緒にいて、何もないわけないだろう……」

って、パパはそれっきり口を訊いてくれなかった。

あたしが見る限りじゃ、彼の一方的な片思いだと思うんだけど。

パパって、思い込みが激しいとこあるから、もう何を言っても無駄かなって。

それからのパパは、益々元気がなくなっちゃった。

見るも哀れって感じ。

あたしもパパのショックが良くわかるから、色々気にかけてたつもりだった。

朝、スーツを選んであげたり。

夜、いつもだったら知らんぷりなわたしだけど、「おかえり」って声かけたりさ。

でも、パパが求めてたのは、そんな小さな気遣いじゃなかったんだよね。


身勝手だとは思うけどさ。
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