僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
>今日一日の苦労は今日一日で十分である
「弘美さん、僕達も帰りましょうか」
そう言って、畠山孝幸は私の肩にそっと手を添えた。
たぶんそれは彼なりの気遣いで。
私が驚きで身動きができなくなって、固まっていたから、だと思うけど。
「ごめんね、恥ずかしいとこ見せちゃった。君は何にも悪くないのに。いい迷惑だよね。あれでもあの人、一流企業の部長。人間って、ほんと、何処でどう歯車が狂うかわからないね」
恥ずかしいのはあの人だけど、その原因は私だと感じていた。
別れた元妻の生活に、あれこれ口を挟む権利はあの人にはないのは確かだけど。
確かに私は、若い男と一緒に住んでいる。
それは間違いのない事実で。
あの人の口を通して、世間の非難を一身に浴びたようで恥ずかしかった。