僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
私の背中には、密着した彼の身体の感触が残っていたけれど。
私は、瞳を閉じたまま、彼の言葉を反復していた。
『……弘美さん、きっと後悔するでしょう』
感情にまかせて若い男と身体を重ね、快楽を求める。
私にそんなことが出来るはずがない。
もしそんなことが起こったら、きっと後悔する。
自分が恥ずかしくなる。
彼はそういう意味のことを言っているのだろう。
でも……
彼と身体を重ねるのは、快楽を求めるためだろうか。
こんなにも、穏やかで心地よい関係が、衝動的な快楽を求める行動と片付けられることに違和感があった。
背中に彼の温もりを感じながら、畠山孝幸という人間のことを思う。
彼と離れたくない。
彼を失いたくない。
そんなことを思う自分が信じられないけど。
彼を求める自分がいて。
この感情は、いったい何なのだろうかと自問する。
十四も歳の離れたこの若者に、私はどんな思いを抱いているというのだろうか。
私は、身体に回された彼の手に、自分の手を重ね、その答えを先送りにした。
今はただ、眠りたかった。