僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
「嗚呼、今度その男と一緒に飲みたいな。
弘美に、愛されるより愛したい、なんて思わせる男の顔が見てみたい」
「やだ、普通の男だよ」
「その普通の男が今貴重なんじゃない?」
「そっかな」
「そうだよ」
「そっかぁ~、じゃあたしは幸せ者だね。
そうだ、これから家くる?
今日は久々の一日休みだから、きっと夕飯の支度して待ってると思う」
「えっ、その男、家事も出来るの?」
「普通に家事一般こなすのよ。好美より全然使える」
「やだ、それ、凄い」
「でしょ? あ、ちょっと待って……」
私は勢いで携帯を取り出すと、彼に電話をかけた。
「あ、孝幸くん? これから友達連れて帰っていいかな? あ、うん、別にそんな気を使う相手じゃないから。うん、そうだね、わかった。邦子、今晩は天ぷらと筑前煮だって。和食だから日本酒買ってこう」
「なにそれ……」
私は誰かに彼のことを認めてもらいたかったのかもしれない。